2017年1月1日日曜日

ヨーロッパでの10回目の正月を迎えて



ヨーロッパで10回目、トゥールでは2度目の正月を迎えた
特に感慨が湧くということはない
朝の空模様は昨日と同じである
今年の先行きを暗示しているのだろうか

昨年の今頃はパリで、これからどうするのか、どのような道があるのかを探っていた
その大枠が見えてきた今年は、何をするのかがテーマになるだろう
より正確には、これまでに浮かんできたプロジェを如何に実現させるのかが問題になるだろう

昨年末に意識できたことがある
それは外に出て世界をこの目で観る時、そのすべてが非常に明瞭に見えるということである
そのすべてが美しく、しっかりした映像として捉えることができているという認識である
より主体的に言えば、この世界を写し撮る、あるいは移し取ろうとして観ているということである
その結果として、この世界が焼き付くように捉えられるようになっている
この観察を広げれば、例えば本を読む時、人の話を聴く時などにも起こっているように見える
生物の重要な機能が外界との調節にあるとすれば、今回に発見は非常に重要なものになる
それ以上に重要なのは、このことが精神に充足感を与えていることだろう

今年も発見に満ちた日々が訪れるよう目を凝らして行きたいものである




午後から元旦の街に出る
ほとんどの店は閉まっているが、市役所界隈は僅かに開いているところがあった
新しいカフェで、今年最初の飲み物はリストレットになった
店の人の応対が優しい
一緒に入ってきた母親と子供三人の家族連れがすぐ横に座った
学校に入る前と思われる一番下の女の子が、母親に何語で話したらよいか訊いている
そして、わたしに Where are you from? と話しかけてきた
どうして英語だったのですか?と母親に尋ねると、アメリカから来たと思ったとのこと
日本から来たと答えると驚いていた

暫くすると、小学校低学年と思われるお姉さんが、「こんにちは」は日本語ですか?と仏語で
そうです、と答えると恥ずかしそうに喜んでいた
どうも異文化に興味津々のようで、こちらを覗き込みに来る
こんなことはパリのカフェでは一度もなかった
先日、フランスの子供に日本語や日本文化が入り込んでいることを知ったが、それを確認した
最後に母親が、こちらの寒さは大丈夫ですか?と訊いてきたので想像以上に穏やかだと答える
すると、この答えにも驚かれた

今年もこのような偶然と小さな触れ合いを大切にしながら歩みたいものである




帰り街中を歩いていると寒くなる
丁度その時、一つだけ開いている温かい飲み物を出しているところが目に入った
今年初めての vin chaud を路上の立ち飲みで味わいながら、これからを思う
とはいうものの、いつもその精神状態にあるので、仕事をしている時ほどの有難さはない 





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